カヌースラローム世界選手権2023のレースが始まりました。パリ五輪の予選会も兼ねたこのイベントには世界の強豪選手が集っています。
スケジュールはまず、チームレース、翌日にカヌー男女、その翌日にカヤック男女の予選が行われます。ソロレースのカヌーの予選では、日本選手の羽根田卓也選手が登場します。参加日本チームの予選結果です。
9月19日の初日におこなわれたチーム戦(カヤック)
レースの簡単解説
レース順位はタイムポイントが少ない方が上位。走破タイムにペナルティポイントが足されたものが最終判定のタイムポイントになります。ゲートに触れると+2秒ポイント、ゲート不通過は+50秒ポイントが足されます。1ゲートにつき1回のみの加算。
予選1で上位から規定数が準決勝に進出します。準決勝に進出できなかった選手達で予選2が行われ、上位の規定数がさらに準決勝に進出できます。
準決勝では上位の10名が決勝へ進出し、決勝でメダルを争います。
今回の世界選手権の予選は23ゲート(アップストリームゲーツ#3 #11 #12 #15 #19 #23)
ソロレースの日本選手の結果です。
2023 ICF CANOE SLALOM WORLD CHAMPIONSHIPS
GB LEE VALLEY, United Kingdom 9 – 24 September 2023
9月20日
20日は強風が吹き荒れるゲートぶらぶら状態のレースとなり、波乱がおきてしまいました。
黄色の背景の成績は予選通過
カテゴリー | レース名(通過選手数 / 出場選手数) |
背番号 選手名(敬称略) | 順位 ポイント ペナルティ ゲート番号(ペナルティポイント) |
Men’s Canoe 男子カヌー |
Heats予選1(20/74名) | Heats予選2(10/54名) |
56 SAITO Shota 齋藤彰太 |
54位 99.33p #11U(+2) |
43位 98.96p ノーペナルティ |
49 Sasaki shota 佐々木将汰 |
36位 92.04P #6(+2) |
17位 90.18p ノーペナルティ |
32 Haneda takuya 羽根田卓也 |
22位 89.02p ノーペナルティ |
1位 86.07p ノーペナルティ |
羽根田選手が予選2をトップ通過し、準決勝へ進出。ファイナル用のゲート設定を一発で乗りこなせる準備ができれば決勝進出もありえる。
Women’s Canoe 女子カヌー |
Heats予選1(20/53名) | Heats予選2(10/33名) |
45 OKAZAKI Haruka 岡崎 遥海 |
52位 170.16p #11U,#13,#16(+6) #6(+50) |
20位 110.95p ノーペナルティP |
43 MISHIMA Ren 三島 廉 |
49位 169.72p #15U(+2)、#6(+50) |
30位 157.55p #15U(+2)、#10(+50) |
予選1は世界チャンピオンのオーストラリアのジェシカフォックス選手がまさかの予選1落ちの大不調という波乱の幕開けの今年の世界選手権。日本選手はゲート不通過の50pのペナルティを含むレース展開で残念ながら、予選通過なりませんでした。岡崎選手は予選2でノーペナルティと丁寧なレースを見せましたが7秒ポイント不足で準決勝に進めませんでした。
ジェシカフォックス選手 予選2を2位通過後のインタビュー「私のレース経験の中で最もタフなレースコンディションでした。久しぶりに予選2をランでしたが、コース状態が最悪でこんな状況でスタートさせるなんてあり得ないと思いました。そんな中の神経がすり減る様なランでしたが無事予選通過することが出来たのは良かったです。」
・人口84000人の国の選手とは?
岡崎選手の上位19位にアンドラ公国のPELLICER選手がいます。この国はフランスとスペインの山の狭間の小さな国。人口約84000人(在アンドラ日本大使館公表)という国でウィンタースポーツが盛んな国と言うことですが、山間のダウンリバーにも通じるものがあるのでしょう。PELLICER選手はカヌーカヤックともにプレイします。2013年のジュニア世界選手権にはカヤックで出場しており、日本のヤギ選手(57位)よりも上の49位の結果を残していましたが、その選手権はイギリスのキンブレーウッズが注目されていた年です。カヌーでは2014年のヨーロッパ選手権で23位という成績でした。2023年までの成績では中の中ぐらいの結果の順位の選手。
9月21日
Men’s Kayak 男子カヤック |
Heats予選1(30/101名) | Heats予選2(10/71名) |
52 Tanaka Yuuki 田中雄己 |
13位 81.79P ノーペナルティ |
ーーーーーー |
50 Muto Yusuke 武藤裕亮 |
81位 135.34P #15U(+50) |
32位 90.90 ノーペナルティ |
29 Adachi Kazuya 足立和也 |
37位 87.0P #6#19(+4) |
3位 81.68P ノーペナルティ |
田中選手と足立選手は準決勝進出となりました。
Women’s Kayak 女子カヤック |
Heats予選1(20/75名) | Heats予選2(10/55名) |
71 Fujii Naho 藤井 南帆 |
54位 120.46P #8#19U(+4) |
36位 112.39P #13#21(+4) |
52 Ito Kurumi 伊藤くるみ |
43位 104.38P #1#3U#7#12U(+8) |
33位 109.25P #3U#13#14#19U(+8) |
34 Yazawa Aki 矢澤 亜季 |
34位 96.44P #17(+2) |
8位 91.05P ノーペナルティ |
矢澤選手は準決勝進出となりました。
予選 ライブ動画
予選ゲート構成の所感
予選のゲート構成では#3UP,#6D #12UP #19UP #33UPのペナルティが多く見られましたが、男子カヤックH2の全体でのペナルティの無かったゲートは#22でした。
個人的感想では初見段階ではバウコントロールとスピードの関係性が全体的に仕掛けられていると感じました。これは、パリ五輪予選と世界選手権の大舞台へのチャレンジに対して選手の適切なメンタルをコースにぶつけすぎない設定で構成されているというものです。レースタイムは設定よりも10秒以上早くフィニッシュさせていることがよりそのコントロールへの罠につなげているのではと見ていました。
ボイルとウェーブの多様がこのコントロールのメインですが、縦軸中心な為にある程度タイムを出せるようになっているようです。ゲートの位置さえ完全に覚えておけばブラインドから現れるバーに焦る必要がなく、またレコードラインが単一なためランでのタイム差が微妙に刻まれています。
ファイナルのステージはどうなるのでしょうか。
22日からはカヌー男女の準決勝、決勝レース。23日はカヤックのステージとなります。
資料
https://www.fr.emb-japan.go.jp/andorre/jp/shoukai.html#:~:text=%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E5%85%AC%E5%9B%BD%E3%81%AF%EF%BC%8C%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%A8,%E5%85%BC%E8%BD%84%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82