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カヌースプリント競技の安全対策(1)

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CKNMにカヌーカヤックに対して、安全をテーマに投稿いただきました。全6回

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投稿いただきましたのは筑波大学の近藤許仁さんです。
CKNMではこの投稿いただきました記事に関しまして6回の連載記事としてアップいたします。
イラストはぬまくろさんにお願いしました。


著者:近藤許仁(筑波大学・体育専門学群)内容に関する問い合わせ先:田神一美(筑波大学・体育系教授・スポーツ衛生学研究
室)

カヌースプリント競技の安全対策(その1:概要)

カヌースプリント競技の安全対策(その1:概要)
はじめに
カヌーはパドルで水をかき、艇を前進させていく水上スポーツであり、ボートとの決定的な相違点は、カヌーが進行方向を向いて艇を進めるところにある。
カヌー競技にはスプリント、スラローム、ドラゴンボート、ワイルドウォーターなどの種目があり、静水で行われる種目と流水で行われる種目に分けることができる。
日本では静水でおこなわれるスプリント競技が最も競技人口が多く、平成23年の日本カヌー連盟選手登録数はスプリントが2,375名、スラロームが425名である。
スプリントは静水の直線コースを最短時間で漕ぎ、着順を競う競技である。マイナースポーツではあるが、国内では国体と高校総体の正式種目になっている。
また、最近では我が国の競技力と競技人口が急激に伸びてきており、近い将来にはオリンピックのメダルが狙える種目に育つことが期待されている。
 
カヌー競技は自然の中で行われるスポーツであり、その環境は常に危険に取り巻かれている。
特にスプリント種目の艇は細く、初心者が転覆せずに乗れるようになるまで1カ月以上を要し、熟練者でも天候によっては転覆するほどバランスが悪い。
水の事故は溺水や低体温症など生命に関わることもあり、季節や天候の状態に応じて水域の安全性は大きく変化する。
従って、カヌー競技の安全を確保することは重要であり、競技会主催者の重大関心事である。カヌー競技や競技場への安全配慮は、カヌー競技の良好イメージを高めると共に競技人口や競技機会の増加に貢献すると考えられる。
現段階で日本人は、カヌー競技に対し特段の危険イメージを持っていないと考えられるが、ひとたび死亡事故が起こりその原因が安全対策の未熟であるとの指摘を受けたならば、危険なスポーツというイメージが浸透し、非難にさらされることになる。
 
「カヌー競技は、危険なスポーツであるが、十分な安全対策ができている」と言えることが望ましい。
 
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昭和11年に我が国にスプリント競技が伝わって以来、大学カヌー部での死亡事故は6大学の7名1)に及び、社会人でも1名の死者が出ている2)
高校生の死亡事故はないものの、「合同練習中、強風で多くの選手が転覆、男女合わせて50名程の選手が波間に浮かび、救助ボートも浸水した」3)というヒヤリハット体験(インシデントレポート)が残されており、いつ死亡事故が起こっても不思議ではない状況にあると考えねばならない。
スプリントと類似した環境で練習をしているボート競技では、現在までに110名の死者を出している4)
これは、スプリントやボート競技が常に危険な環境で行われていることを示している。
 
スポーツ活動の危険の程度(リスク)を表現する方法が疫学にはある。年間の事故件数や死亡者数は、既にこの稿でも使われているが、「スプリントとボートでは、どちらがより危険か?」の問いに対する回答としては適切ではない。その理由は、両種目間で競技人口が圧倒的に異なること、水難事故につながる実水面での活動時間が考慮されていない数値だからである。
 

年間の各競技の登録者数はそれぞれの協会が把握しているので、1000登録者当たりの事故や死亡事故件数は容易に算出することができる。
問題は、部活動時間や実水面での漕艇時間を記録する習慣が我が国のスポーツ界に乏しく、正確なリスクは開示されていない。
筆者は長くスプリント競技に関わって活動した経験から、年間の漕艇時間目標を800時間程度と見積もり、100時間程度は天候等の理由によって消化できないと考えている。
この数字は競技志向の高いグループのものであり、平均的な漕艇時間は300時間から700時間の間にあり500時間/年とするのが妥当ではないかと考えている。
 
本研究では、日本のスプリント競技安全対策の改善点を見つけるために、過去のスプリントとボート競技の事故を分析した。
また、日本のスプリント安全対策と、カヌー強豪国であり、古くからカヌーに親しんでいるカナダのスプリント安全コードとの比較を試みた。
また、競技環境が似ており、過去に多数の事故死者を出していることから安全対策がしっかりしている日本ボート協会の安全対策とも比較を試みることにした。
 


第2回へつづく

著者:近藤許仁(筑波大学・体育専門学群)内容に関する問い合わせ先:田神一美(筑波大学・体育系教授・スポーツ衛生学研究室)

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