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カヌースプリント競技の安全対策(2)

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筑波大学近藤様寄稿記事(全6回)。前回からの続き:No2 カヌースプリント競技の安全対策
著者:近藤許仁(筑波大学・体育専門学群)内容に関する問い合わせ先:田神一美(筑波大学・体育系教授・スポーツ衛生学研究
室)
イラスト:ぬまくろ

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カヌースプリント競技の安全対策(その1-2:概要)

方法と結果
過去の事例収集とその分析
   我が国で発生したカヌースプリントとボート競技の水難事故について、文献や新聞記事からその状況を調べ、その事故が起こった要因を探した。
また、ボート競技の事故については、悪天候が要因の事例は気象庁の過去の気象データから当該日の風速、天候、気温を調べた。
 
安全対策の比較
   我が国のスプリントの安全対策(緊急管理マニュアル、カヌースプリント競技規則)と、カナダの安全対策(Sprint Safety Code)とを比較した。
また、日本ボート協会の安全対策(ローイング安全マニュアル、ボート競技における安全ガイドライン、競漕規則)との比較を行った。
 
過去の事故事例分析の結果
カヌースプリントの事故については、大学カヌー部の6校7名の事故のうち、3名については新聞とカヌー連盟が発行しているカヌー教本に載っていたためその状況について知ることができた。

また、カヌースプリント競技かは不明だが(カヌーとしか表記されていなかった)、「体育・スポーツ事故[1980~89年]地域編」で学生の事故1件と高校部活動での顧問の死亡事故1件が確認できた。また、新聞から社会人の事故事例も1件見つかった(表1)。

表1. 日本のカヌースプリント競技の事故事例(朝日新聞、体育・スポーツ事故[1980~89年]地域編より)
発生日
職業
競技レベル
天候
水域
発生原因
62-3-9
社会人
オリンピック代表候補
北上川
人目につきにくい場所で転覆。雨具で自由に泳げず
63-7-18-
大学生
初心者
風・波なし
荒川
泳げず、ライフジャケットもなし
67-5- 8
大学生
不明
不明
戸田
泳げず、カヌーも浮力体除去のため沈下
80年頃
大学生
不明
不明
琵琶湖
泳げず、ライフジャケットもなし
84年
19歳学生
不明(レーシング艇かも不明)
18メートル以上の強風
おそらく宍道湖
湖を1周すると1人でカヌーを乗り出した。
85年
部活顧問
不明
平均風速2.2m/sec
不明(静岡県天竜市)
転覆した生徒を助けようとして力尽きる。
 
犠牲者の競技レベルは広範に渡った。明確な記載はなかったが、新聞とカヌー教本で確認できた事例では、おそらく全員がライフジャケットを着用していなかった可能性がある。
琵琶湖での事例は唯一の試合中の事故であり、「日頃はライフジャケットを着用して練習と試合にもでていた。
たまたま、そのレースの時だけライフジャケットを外して競技に参加中に、運悪く転覆して犠牲となった」1)また、新聞とカヌー教本で確認できた4人のうち大学生の3人は泳ぎが不得手だった。
これらの事故時の天候については気象庁のデータを特定できなかった。

  ボートの全事故事例は、日本ボート協会発行のローイング安全マニュアルに掲載され(表2)、原因の推定が行われている(図1)。
54件中32件(約60%)は悪天候や増水、低温などの気象要因で発生している。
最近の10年(2001年9月~2011年8月)では3件で3名が死亡し、大会中の突風によるダブルスカルの転覆遭難(2001年)と、2件の突然死(2005年、2008年)となっている4)
また、泳力が劣っていた事例は8件で、このうち、悪天候が要因になったものについては気象庁のデータから風速を調べた(表3)。
過去の気象データと突き合わせることができた事例は10件で、瞬間最大風速に関してはデータがなかったものもあった。

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図1. ボート事故発生の原因(ローイング安全マニュアル(2011年版)、漕艇死亡事故の概要、 p. 4、(社)日本ボート協会編より転載、
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表2.日本国内の漕艇死亡事故(ローイング安全マニュアル(2011年版)、表9-1、 p. 84-85、(社)日本ボート協会編より抜粋して転載、http://www.jara.or.jp/info/2011/saftymanual.pdf


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著者:近藤許仁(筑波大学・体育専門学群)内容に関する問い合わせ先:田神一美(筑波大学・体育系教授・スポーツ衛生学研究室)
第3回へつづく

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