オリンピック移転候補地として彩湖が選手達に強く望まれている埼玉県の彩湖。
しかし、ここに移転することはほぼないと思われます。その理由とはなんでしょう？
なぜ彩湖は、ボート競技のレガッタに使えないのでしょうか？
カヌースプリント競技場としてだけならできるのでしょうか？
彩湖でオリンピックを開催するとなるとコースを作る必要があります。
一マス２００ｍ×幅約１３０ｍ
彩湖とは何の場所でしょう
簡単に言うと、ここは埼玉県と東京都心を守るための施設です。
毎年、台風などで川の増水事故は起こります。
記憶に新しいのは、茨城県の防波堤決壊の河川氾濫事故。
周辺一帯が水没してしまい、ヘリコプターなどでの救助が行われたのです。
埼玉と東京の境にあるこの施設は、荒川の増水時の水の逃げ場として作られた場所で、ここを閉鎖してしまうと、東京に流れ込んだ川の水位が高くなり、防波堤の力の弱い部分が決壊の恐れがあるからです。
荒川は名前の通り、川のパワーがすごいと言う事で江戸時代には関東一円が浸水するほどの水量があるのです。流れは、埼玉から、赤羽、足立、北千住、墨田、江戸川、葛西そして東京湾に流れ込みます。
都内では以前から防波堤を強くしたいがためにスーパー堤防案を作成し、河川沿いの住民を退去させての土地収用をずっと続けていました。
このスーパー堤防は難航し土地収用が終わるまであと1世紀以上はかかるとされています。
それ以前に、この遊水地を閉めてしまった場合に、東京が大雨のたびにとてつもない危険にさらされる心配をし続けなければならないのです。
また、利水補給地としての利用があると、彩湖の水位は低下します。
生活利用の為に上流のダムなどと連携した河川利用があるために、オリンピック競技の為に、生活水、工業用水を含み、停止してくれと都民県民に言えるでしょうか？
レガシーにならない理由
つまり、この地に建物は建てられません。
建てても、臨時物ですぐに撤去可能な物でなければならず、また、撤去しないとされた場合でも、増水開門時に建物は水没します。
関連施設もまた水没し、復旧には水位が下がってから、全て新しくしなければならないと利用できないでしょう。
もし、オリンピック競技前に台風が来て荒川がかなりの水位となった場合、この門を開き水を分散した場合にコース施設は水没し、開催期間中はずっと使えなくなるでしょう。
「2週間の為に東京を危険にさらす」か、「埼玉東京の安全の為にここはあくまで、臨時の遊び場である」ことかを選択するとしたら、ほぼ１００％都民埼玉県民の理解は得られないでしょう。
競技ボート選手だけで、数百万人を水没地から救うことは出来ません。
昭和の東京オリンピックのレガシーは戸田にあってもよろしいと思いますが、平成の東京オリンピックのレガシーは、新たな場所にあっても何の問題も無いと思います。
開発ができない巨大な土地を求めるよりも、できる場所を検討するのが現実的な政策で、あと4年後までに完成させる必要もあるため、彩湖では住民との話し合いや、政策の検討を繰り返して進める手続きが多くあるため、問題の解決ができる時間は無いでしょう。
荒川側土手掘削は不可能
ボート連盟などが案として出している荒川土手の掘削案は１００％認められない理由。
いくつのかの法律が関係していますが、実態調査により、今２０１６年度の危険警戒地域に彩湖は関わっている。
特定都市河川浸水被害対策法
簡単ＰＤＦhttp://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000047029.pdf
水防法による戸田市板橋区の重要水防箇所地点の平成２８年度 重要水防箇所位置図によると笹目橋（彩湖下流側）が指定されている。
http://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage00226.html
=写真追加=荒川彩湖公園取材日２０１６年１０月
汚水処理場
彩湖の埼玉県側には、荒川水循環センターという巨大な汚水処理場が併設されています。
ここで処理される汚水の量は、膨大なものです。
これをボート施設の為に、動かしたりすることは１００％できません。
一時的に停止する事さえ許されない施設であることは、人間の生活排水処理が必要だからで、改修中誰も汚水を流さないでくださいと言う事は１００％できないからです。
連絡橋の撤去
図案で作成しましたが、コースレーンの岸との平行河岸工事量を減らし、またレーンの波などの安定を求めるなら、水門からの直線的な湖岸を利用し掘削したほうが良いと思われ、橋の撤去は不要です。
自然保護区
大きな橋の向こう側は自然保護地区となっており、現在でもボートなどの乗り入れは禁止されています。汚水処理場側の施設で有り、この地区の必要性は、これらの関連施設の維持と共に、ボート競技の為に踏み込めるエリアではないのです。
距離的に限界でもともと工事できない
住民など全て懸念事項が取り除かれたとしても、このレガッタコースの建設エリアを確保できません。
（前図）開発が不可能と思われるエリアがあり、距離として2050ｍぐらいまでとされます。
水門側はある程度のエリア確保が必要であり、アバなどで仕切られるとして、メインスタンドは処理場と逆側に設置せざるを得ません。
荒川土手側の掘削自体は生活住民保護の為に絶対に許されないでしょう。
つくっても、水没設備ですし、復旧にかなりの予算がかかるだけに、いまひとつ無理だと思われます。
・カヌースプリントだけなら可能
カヌー・カヤックスプリントでのオリンピック競技種目だけ行う施設なら、１２００ｍ地点まで掘削し、正常な競技運営は可能です。
メインスタンドを掘削した地点へ設置もできるはず。
漕艇競技の２０００ｍ確保はかなり無理があります。
埼玉でやるなら、戸田以外の広い土地がある場所を見つけた方が安くそして、設備も上のものができるはず。
埼玉県上田知事と東京都小池知事の話し合い
埼玉県にはオリンピック競技がいくつか開催されることになっており、ボートなどの競技招致についてはもう十分ということで、検討していないことを上田知事は話しました。
=追記10月14日20時= 急転回！！埼玉県上田知事ボート競技場受け入れ表明
東京都小池知事の話し合いは一切なかったと発言しました。
文書で「私はオリンピック・パラリンピック組織委員会の顧問に就任していることから、彩湖への誘致について自粛していました。このことで小池知事が埼玉県がその気がないという判断をされたのであれば考えを変えざるを得ません。ボート・カヌー会場の彩湖受け入れについて用意があることを表明します」
小池氏に彩湖の協議について話した職員が、水の森決定の手続きを隠し、偽情報をだしたのでしょうか？
ＣＫＮＭが数年前に上田知事にスラローム場誘致提案をした時には、東京都が開催権利を離していないと言う事で現在移転は考えていないという返事をいただいたことがありました。
また、上田知事は、国の管轄エリアの転用申請を行う事になると思いますが、遊水地を秋ヶ瀬などのエリアに変更するのでしょうか？
仮設だけのレガッタになり、完全自由練習場として残すのでしょうか？
上田知事が、話し合いで却下コメントを聞いて、自分の正当性を発言したものとみられます。
その後、プレゼン参加までは形式として発信したものの、何の勝算も無いまま飛び乗った感を受けます。
プレゼンを待ちたいと思います。
資料
荒川上流河川事務所
http://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/
公益財団法人埼玉県下水道公社
http://www.saitama-swg.or.jp/nanbu_hp_20120423/
=追記= 荒川側土手を掘削しないでコース作成案
(四角枠は２０００ｍ）一マス２００ｍ×１３０ｍなので、赤点線の２２００ｍまでは２００ｍ以上の掘削は必要となります。メインスタンドは水門がわに設置することで、レーン右側のエリアを練習用のアップエリアに設定でき、検定所からの発停も問題なく行う事が出来ます。
・超高額な予算が必要！？
この案の問題点は、連絡橋の撤去に加えて、新たな土手の作成。その内部土地収用、地下インフラ設備の移動整理などを含めて考えると、海の森以上の金額は簡単に考えただけでもなってしまうのはわかります。
首都高埼玉大宮線浦和南出口（下り線のみ）から彩湖は近いのですが、彩湖近辺に一本道ではありません。また登り車線にしか入口が無い為、この渋滞区域がさらにオリンピック開催時大混雑が予想されるため、彩湖連絡道路新設と拡張工事の住宅密集地の収用などで整備し直す必要も検討課題です。
追記② 埼玉県上田知事 ２０１６年１０月１８日
国土管理地の利用に関して、返答まで出発できない状態。
１０月１８日定例記者会見で、「国土交通省の返答如何では彩湖の工事費用試算しようと思う。招致活動を先導していき、競技場選択肢になるように努力したい」。
「まずは国交省の理解を得ないと始まらない」
＝追記：ここまで＝
＝追記＝
Q.戸田ボート競技場は拡張できないのでしょうか？
A.１００％無理でしょう。
荒川土手側は掘削は各種防災法令上できません。
駅がわは以前は倉庫や病院などの為の用地でしたが、住宅や巨大なマンション建設が出来るようになり現在は埋め尽くされてしまっています。レガッタコース幅の１３０ｍ＋余白地を取る為には周辺の住宅を買い取り、また保障や、ライフライン設備の変更などを行った場合数千億円規模の予算が必要となります。
低予算を求めている東京五輪むけではありません。
その上、それだけの広さの土地収用が1年~3年でできることはありません。
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