川や海でのトラップ その1

海には波があり、川には流れがあります。そこには岩を削ってできた場所や、じゃりから小さな岩までたくさんあります。
カヌーカヤックだけでなく、ラフティング(空気で膨らませた川下り)などでもこういう場面は知らなくても訪れていますので、知っておけば生存確率は上がります。
水の力は強くなっている場所での注意すべきもの。その第1弾です。


危険を考えなくてはいけないゾーンとは、まず水が岩に当たっている場所です。
水がながい間、時間をかけて岩を砕き地形を変えていきますが、これの変形した地形が罠となってしまっていたり、崩れやすいもろい状態になっている場合もあります。
崩れてしまえば、小さなボートではひとたまりもありません。
しかし、地形的に気を付けておけば、近づかないことでリスクを避けることができます。

sf 001umi - 川や海でのトラップ その1(左:上から見た図) 海の岸壁などにみられる、岩場の地形では、波が岩を侵食し、削れてしまっている光景を見たことがある人も多いでしょう。
sf002 kawa - 川や海でのトラップ その1 川の流れの上流側。
川幅5m程度でも流れの強いところがあります。
川を立って横断するにも、結構ぐらぐらしてしまう。
川は内側よりも外側の方が流れが速いのですが、外側の急激なカーブでの岩場に流れが当たっている場所には注意が必要です。
(左:上から見た図)
sf 003undercut - 川や海でのトラップ その1(左:横からの断面図) この外側のカーブに岩があった場合、流れが急な場所では、左図のように岩の下が削れてしまっていることが多いのです。
これを通称「アンダーカット」と呼んでいます。
川の流れは次々と押し寄せ、行き場のない水がぐるぐると回っています。
このような場所へ入ってしまったら、この削られている大きさが人間よりも大きい場合、人力で抜け出すことは不可能でしょう。
このアンダーカットの岩に水がぶつかる部分はとくに激しく跳ね返りがあるわけでなく、一見おだやかにみずが流れているようにみえるのです。
そして、このような場所には、木やごみなどが堆積してしまっていることが多く、足や服が引っかかってしまったら、体に傷をつけてしまうだけでなく、脱出できずに危険です。
 
sf 004undercut - 川や海でのトラップ その1(左:横からの断面図)
sf 05 2undercut - 川や海でのトラップ その1 カーブの外側は内側よりも深くなっています。
手前側がひざ下だからと油断していると、沈(転覆からの艇脱出)した場合に足がつかないなんてことはあります。
この急激なながれは、ずどんと潜ったときに浮き上がるまでに数メートル流されています。
なぜなら、川の深さの中ほどが上下側よりも水の流れが速いからです。
自分の位置を予測し、すぐに浮き上がったときの状況を見定めなくてはなりません。
絶対にアンダーカットに中に入らないためにも、あおむけで浮きカーブに差し掛かってしまったら、岩場を足でけって、避けなければなりません。
  ※以前記事で書きましたが、救出する場合、素人には十分注意してください。
 sikiri08 - 川や海でのトラップ その1
sf006 2 foott - 川や海でのトラップ その1 横断面図
川だけでなく海でも起きるこの事故は、川底や海底の岩場などに足が引っかかってしまい取れなくなってしまった時に起こり得るものです。
これを「フットエントラップメント」と呼んでいます。
川下側に倒れてしまった場合に水流の強さで体を起き上がらせることができなくなります。[overrule](水圧ではありません、垂直の圧力ではないため)[/overrule]
足を捻じ曲げて横向きになって、起き上がるしかありませんが、足が固定されてしまっていると、体を捻じ曲げることもできずに起き上がれず、窒息してしまうケースです。
とにかく呼吸確保が第一。
川の浅いところで倒れて起き上がれない経験をしたことがある人は、この怖さがわかるはず。自分の上に人が3,4人乗っている感じで腹筋の無意味さがわかるww。倒れるなら上流側へ向くのが最悪のなかでの救い。

このようなリスクを覚えておけば、ボートから落ちてしまったときでも、注意しながら行動をすることができ、事故を減らすことができるでしょう。

sikiri08 - 川や海でのトラップ その1

参考までに
sf009nhk - 川や海でのトラップ その1
NHKの教育サイトに川の流れなどに関する基本的なものが乗っていますので、ご覧になってみてはいかがでしょう。
http://cgi2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?clip=D0005400340_00000&bangumi=D0005110051_00000

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