2024年6月3日から高校のクラブ活動の備品購入の募金としてクラウドファウンディングを始めた学校がありました。
島根中央高等学校カヌー部のカヌースプリント部活では、多大な予算となるボートの購入にクラウドファウンディングを活用することを決定したプロジェクトを始動させました。
部員は男子19名女子9名というカヌー部としては大所帯。全員が練習をボートで行うには難しい状況です。
マイナー競技の部費の悲惨さ
自転車同様に高額な用具は自転車競技者は自身で数十万円の機体を購入し利用している人も多く、同様にカヌースプリントの艇も個人購入者が多く、たとえ強豪校といえどもとても学校の部費では捻出できる金額でボートなどの購入は難しい。パドルでさえも買えないかもしれません。
多くの学校では代々使われていた艇、ob等の寄付などでまかなわれて、パドルだけでも自分で購入するというパターンが見られます。
独自で海外手配で購入するとすれば、ポルトガルから船舶輸送として運賃をさげるしかありません。またはオーストラリアから送ってもらうなど。
実際にはポルトガルなどのヨーロッパへ行けば分かりますが、学生などの練習用の艇は高級な国際大会用のボートよりもかなり安い値段で販売されており、最近はカーボン艇でなくてもabsの精度の高い練習艇なども購入することもできます。
このクラブは高級タイプのボートを販売代行の代理人から購入するのかもしれませんが、かなり高い値段をブログに記載しておりました。車が買えるほどの値段は聞いたことがありません。4人艇であればありえますが、そこまでかなと感じます。
とにかく、ボートは高い。カーボン艇で練習したいということで、寄付を募ることで対応する計画を発表しました。
この学校は全国でも上位の成績を残しており、機材がそろえば、この地区周辺だけから県内の生徒なども誘致でき、今後の学校クラブから独立が実施された場合でも、このようなシステムを作り上げておけば、この地区のカヌーの未来は継続することができるため、戦略性の高い計画と感じました。
大企業への拡大の手法と似たマーケティングだと思います。
目標金額は3百万円 達成出来るのか
カヌー競技者の苦悩はどこへ行けばプレイできるのか。これが最初の壁です。日本ではjcfなどの活動が全くしょうもないもので海外の整備されたシステムはすでに15年以上前から確立していながらも日本はガラパゴスどころか進化もしていません。しかし、プレイしたい人達はいるのです。その気持ちが分かっているからこそ、寄付に繋がった一つのエレメントでありましょう。300万円は達成し、500万円の目標に切り替えました。
最終締め切りの2024年7月31日には730万4千円の募金が集まりクラウドファウンディングは成功したのです。
返礼品となるいわゆるリターンは、リターン不要コースでは、お礼メッセージなどや学校ホームページへの募金者名簿に希望者は記載。金額によってステッカーやTシャツなどをリターン品としていました。
選手のモチベーションはボートに乗れることから
お金持ちがお金があれば高級用具を揃えられそれで勝敗が決まるのであれば、そんなものに誰も共感しないでしょう。乗馬や自動車レースのように。古いボートも伝統と言えばそうでありますが、レースの道具としてはやはり新しいボートが欲しくなって当然ですし、新しい用具であれば自身の負けを用具のせいにもできない。本当の自分の力を試したい。人間本来の人がいれば競争になる、それを人より上になることを求める、つらいことを一緒にやって仲間意識が高まるなど・・・向き合い方は人それぞれですが、カヌーやカヤックにターゲットを求めた人達には、同じ共感が既にできあがっています。
そこでの創意工夫や悩み、など青春を楽しんで過ごすことが、未来の自分への石杖になるはず。その為に大人が協力してこども達を支援する。この多大な金額にたどり着いたことは、多くのカヌーカヤックファンの人達の心が繋がっているという証拠ではないでしょうか。
資料
https://readyfor.jp/projects/shimanechou_canoe
島根中央高等学校カヌー部
https://shimanechuo.jp/canoe.html