パリ五輪 カヌースラローム競技 女子カヤック準決勝と決勝レース結果と所感

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2024年7月28日22時すぎごろから準決勝のレースが行われました。
予選はカヌー発展途上国落とし程度のレースなので、日本の参加年数を見ると準決勝進出を喜ぶべき所ではないのですが、出場した矢澤選手は無事通過しています。

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今回のパリのコースは、210m23ゲート。史上最強のハードなセッティングとなっており、女子ではかなりストリームの攻略が難しい。地元フランスの選手も何度も流れをたたき込んでいるからこそ体が対応できますが、それでも厳しい場所は準決勝のゲート構成ではいくつか見受けられ、体力を奪われまくるものとなっています。いかに前半のストリームをラダーで攻略していくかというポイントもありますが、それを打ち切るような関所的なシュートとバックウォッシュのダブルという構成まで見られその幅がボートよりも狭くスタックしやすくなっていました。
ゲートはキーは#7ここの入り方で数秒変わってしまうと言う恐ろしすぎるゲートであり、攻略も果てしなく難しい。もう一つは#14UPへのアプローチだろう。ここが2番目の難関でタイムに大きく影響する。
また、フランスの暑さが水面上で待機しているときに体調に影響しそうでランの順番も早めも悪くないのではという印象です。

レースの初見での所感です。

キンブリューウッズ選手

この人はこのストリームの流れの境目をきれいにラインをとっていて素晴らしい。これだけスピードがあり、またエネルギーの消費も少ないスタートからの出だしをこのコースで見たことがないぐらい乗れていた。最初のほうでランしたがタイムも出ていた。

ミンタコバ選手

スロバキアの選手だがスタートからのラダーがツボを突いていて上手い。

エイビーライブファース選手

ゆっくり行きすぎでは?という中盤にかんじたが、「予選さえ通過すれば」という守りの印象が自身のレースを壊した。途中のペナルティで急激な大ピンチに突入。今回のコースは攻めなくては攻略できないが高度なテクニックを持ってしまったが為のレース展開のミスに感じる。

ジェシカフォックス選手

準決勝で終わる選手ではないだけに逆にプレッシャーもあるのかと思ったが、全くそれを感じさせない。走り出せば超高度なランを展開し攻略してしまい、もはや野性的なものを感じさせる。ミスは#7へのアプローチだが、これは自身で決勝への解決のポイントを冷静に分析しているだろう。
それだけに今回のコース設定は超ハードと再び感じさせてくれた。

矢澤選手

#1UPスタートの入りは落ち着いていこうとしているが遅い。#2からボートの挙動がだめ。シュートでバックウォッシュに一瞬つかまり流れに乗れていない。#6,7,8悪くない。後記するがランが良くない。#16タッチ。このあたりからパドルのパルが入っていない。ラストまで頑張ったとはいえるが、早いランのレースとは言えるものではなかった。 114.50

前半に登場したが、10年前と何も変わらず。乗れない理由はその頃から書いているが、全く理解していない。パドルが原因の一つだが、そのスタイルを続けるならそのライディングを変えなきゃいけないことに気がついていない。間違った乗り方をしているために、エネルギーの不要な消耗ばかりがおきてランの推進力に繋がらない。同じスタイルの高度な選手も出場しているが全く参考にしていない。その推進力に繋がらないことが筋肉の強化に重点を置いた間違ったトレーニングを行うことになるが、筋肉内の酸素量は同じ限界点を大差さなく迎えることで、パワーも伝わらず、後半のダレは改善できない。結果必死に漕いでもタイムは出ない。20年前のコーチングなのか?年齢的に次があるのかは分からないが、以前の代表選手達はもっとひどかったことを思い出すとそれよりは遙かに良い選手である。矢澤選手にはもっと高度なものを求めていただけにちょっと今回のレースは進化のない残念な印象を受けてしまった。
日本は実は発展途上であるだけに数年後にアジアの新興国に抜かれてしまうことは確実である。

記載の無いレース

ゲート不通過が何人かいたが、これも首の入れ方とゲートの関係で下回っている。カレントではなくストリームといえる水流で、思い通りのポジションにボートが進めていないのは分かるが、それは攻略の戦略が練り切れていない。オリンピックであることが最高峰とICF国際カヌー連盟は位置づけているのだからそれなりの対策は必要であろう。

 決勝

金メダルを獲るのは誰なのか、強豪ひしめく女子カヤックの決勝が日本時間の7月29日0時20分頃から始まりました。
準決勝のランで#7に苦戦したジェシカ選手が5番手で登場
見ていて異次元過ぎるラン。#7も完全に攻略して同じミスをしない。最後までパワー溢れるランでフィニッシュ。すごすぎる圧巻としか言い様がないパーフェクトなレース。この時点で表彰台は勝確と言っても良いタイム。素晴らしいものを見た。96.08

FRA地元のプリジェン選手、会場内の声援がすごい。前走のFOX選手の結果を見ているだけにアグレッシブなスタート。かなり気合いが入っているのが分かる。
しかし、ゲートタッチをしてしまい。取り戻せる場所はないがタイムを詰めていくしかない。フィニッシュまで取り戻せなかったが101.67と地元のファンは喜んでいた。

BRAアナ選手。彼女もかなりのアグレッシブ。悪いところがないがスーパータイムにはちょっと遠く100.69だった。100の壁を越えれば表彰台が見えそうだったが。

ITA ステファニー選手。カメラの角度のせいなのか、不通過にみえてしまうゲート通過が多く、いまひとつ、いいのか感が見ていて感じた。101.43

GBR キンブリューウッズ選手。強敵登場です。かなり乗れていて、前半タイムでFOX選手よりも-0.21と期待をうかがわせる。しかし#17でゲート下へややながされこのアップでタイムロスだが、98.94と表彰台圏内のポイントを出した。

POL クラウディア選手。この選手も乗れているがなによりもターンがきれいで無駄がない。全体的にスムースなしあがりとなって中盤では+0.17とFOX選手のターゲット圏内に。しかし、FOX選手のパーフェクトランを見た後ではこのタイムを詰めるのはかなりキツい。97.53とわずかに追いつけなかったが素晴らしいランだった。

GER リカルダ選手。スタートから微妙にミスっていたが、それをパワーで取り戻すという、わずか0.0@の世界の出来事を力でねじ伏せてくる。この時点で女王のすごみを感じさせる。FOX選手を超えた位置に立てるのかを現実に感じさせてくれている。前半で-0.39とリード。
#15でややもたった感があり、それを取り戻そうと再びスーパーエンジンがかかる。しかし最後、これがオリンピックという場面がでてしまった。#20でヘッドがタッチしたが、不通過をとられ一気にペナルティ+50となってしまった。フィニッシュ後の彼女の驚きの表情が目に焼き付いてしまったほどの大事件と言えよう。149.08

最終結果
金メダル ジェシカフォックス選手(AUS)Jessica Fox
銀メダル クラウディア選手(POL)Klaudia Zwolinska
銅メダル キンブリューウッズ選手(GBR)Kimberley Woods

4位 アナ選手(BRA)

17位矢澤亜紀選手(準決勝まで)


決勝結果 C1W 公式
G Australia AUS FOX Jessica 96.08 0 96.08 0.00
S Poland POL ZWOLINSKA Klaudia 97.53 0 97.53 +1.45
B Great Britain GBR WOODS Kimberley 98.94 0 98.94 +2.86
4位 Brazil BRA SATILA Ana 100.69 0 100.69 +4.61
5位 Italy ITA HORN Stefanie 101.43 0 101.43 +5.35

6位 France FRA PRIGENT Camille 99.67 2 101.67 +5.59
7位 Slovenia SLO TERCELJ Eva 101.73 0 101.73 +5.65
8位 New Zealand NZL JONES Luuka 100.33 2 102.33 +6.25
9位 Slovakia SVK MINTALOVA Eliska 100.98 2 102.98 +6.90
10位 Austria AUT KUHNLE Corinna 99.09 4 103.09 +7.01

11位 Germany GER FUNK Ricarda 99.08 50 149.08 +53.00
12位 Spain ESP CHOURRAUT Maialen 105.67 52 157.67 +61.59