札幌ドームから一番の収入源であったプロ野球球団の日本ハムファイターズが抜け、札幌ドームは苦境に立たされていると言われている。
スポーツ場に加えて音楽を含めたイベント場として経営を立て直そうとしている。第3セクターの経営については、あまりうまく経営が軌道に乗ったイメージがないというよりも、官僚が経営ノウハウもないのに運営し続け破綻のニュースばかり。税金で建てられたものが第3セクター運営になり債務超過で簿価1万円などで処分されていることはいまや誰でも知っている。
そんな、札幌ドームの運営とカヌーカヤック関連の施設である葛西スラロームセンターと海の森競技場と照らし合わせ考えてみよう。
札幌ドームと葛西スラロームセンターと海の水上競技場の最初に思いつく類似点は、最寄り駅から遠い、交通の便が不便ということだろう。
そして大きな違いは、スポーツの野球のプロチームのファンの数とカヌー競技のファンの数の差であります。
ファンの内、自ら競技場まで足を運んでくれる人はその内の数%。固定客とファンを含む観光客の競技を見るために落としてくれる金額の違いは計り知れない。
海の森水上競技場 運営計画
「海の森水上競技場」の整備費は、303億円で、東京都の海の森水上競技場利用計画によると、年間、競技で31万人、一般4万人、合計年間 35万人の利用を前提に収入1億 1,300万円で維持・運営していくことで経費を積算されていたのです。国際大会を含め30の競技イベントを誘致すると言う計画でした。
令和4年度の東京都の議会質問による回答では、大会数12,来場者数は6万人。令和5年度は21大会で、4万人強と回答された。実際の競技閲覧者以外に公園に訪れた人達も含んで盛った回答に感じてなりませんが、報告の真偽を確認しようにも海の森の来訪者計測のためのシステムはありません。
そして、議会での収支報告では、指定管理料金は2億5100万円、利用者からの収入が3200万円、支出が2億7800万円でマイナス500万円の赤字+建設費関連の償却費+補修修繕箇所への対応にかかる費用、清掃費などがあり、今後コースロープの交換などに7200万円を見積もっているそうです。
ホームページでの運営をみてもこれだけの収支があるとはとうてい思えない。また少人数イベントなどヨガなど教室を行っているが、参加人数は10名程度しかおらず、500円程度の参加費など収益に影響が出るようなものではない。まして水上競技の費用ではなく、周辺公園を使ったイベントであり、水上競技での人数ではなく。カヤック、ローイングなどを含め論外である。交通の便が不便すぎてよほどの目的が無い限り行くことはないだろう。
これらは、東京都の施設であり、都民サービスのために利益を求めないものとして作られたものであるが、都民の税金は赤字の限り使い続けられることになる。
第3セクターというデビルがとりついている札幌ドームの運命は
札幌ドームのドーム建設費が422億円+土地代が115億円=537億円
維持費改修費などは株主から費用を捻出。公共管理で利益は求めていない運営だが、赤字補填は行政側が負担予定。ファイターズからの利益を内部留保しているが、それを赤字補填に当てていく予定。
つまり、赤字が内部留保の予算が切れたときには埋められずに税金からの支出となるわけで、それまでに運営を損益ラインまで持っていかなくてはならないが、今までの運営を見ていると、フェアな企業間の取引と言うよりも優位的地位によって生み出した利益であるもので、王様の強制的搾り取りであり、経営手法ではないものであった。
経営ではなく、「予算をより多く取る」これが札幌で、勝手に入ってくる税金をより多く自分の所に予算を獲得するほど官僚内部での評価が高いという世間との大きなギャップに気がつかない方式が今までファイターズ(税収)がいたことで優位的地位の交渉の一つしか無い選択枝の結果であったため成立していた。
しかし、経営とはそのようなものではなく、高いコストはカットされ、官僚のノウハウにないマーケティングによって新天地のエスコンフィールドは成功している。
だが、札幌ドームの予算計画は契約上の理由からか札幌ドームを少し利用することになったため、多少の収支は埋められているが、運営費約15億円強から2億5千万以上の赤字となり実績値として6億5千万円以上の赤字となっている。さらに2024年度からは19億円以上の収支計画が続いており、収支見込みがないまま下方修正を余儀なくされる。第3セクターは(株)札幌ドームに55%の出資を行っている。同様に第3セクターが関与していた(株)大阪シティドームは会社更生法適用申請を行ったことから経営破綻しているといえよう。札幌ドームは指定管理機関として2023年から2027年度までは指定管理機関として札幌市から管理費の支出は行わないこととなっているが、赤字の場合は介入する可能性がある。
施設の行方は!?
札幌と東京の違いは圧倒的な税収の差であり、札幌ドームであれば市民が納得できないという状況になりえ、売却され、事実上倒産の道を歩みそうであり、そのまえに改修費と称した税金を莫大に使いお金を蒔き、そこへ天下りの道筋を作る可能性もあるため市民は監視し続けなければならない。東京であれば、同じような改修や保全費を支払ったとしてもびくともしないが、都民が良い気持ちを持ち続けられるかどうかは疑問。良くない気持ちを持つ人が増えれば、そこの施設を利用する競技者に跳ね返ってくるわけで、それが悪循環を生んでしまう可能性は否定できない。カヤック関連の弱いところはマーケットの創造を行える人がいないため小さな個人が好きにやっているというもの。だからこそ、どこにも所属しないカヤックフィッシングのラングラーなどはカヤックを購入し自由に楽しんでいる。本来競技者もその楽しい気持ちを味わいたいが、リードするものが何も無いのが現実である。
施設管理の行政の懐事情とその運営団体のノウハウの違いで施設の存続期間は暗黙では長くなる水の森であるが、スポーツ利用の目的と維持費が都民に、そして都政に委ねられております。
日本カヌー連盟の理事長である自民党の議員は、その施設の心配してのカヌー関連の環境やスポーツなどの国会質問などを行っていない、それどころか都議会でも自民党の議員はその関連の質問さえ行っていないという事実。それが今問題の献金目的、票集めと呼ばれてしまうことを自覚すべきです。
私自身、自民党に否定的ではないが人を利用するなら、それなりの姿勢と対応を行うことがその立場に立つことになった政治家としての役務ではないのか?
参考
札幌ドーム:https://www.sapporo-dome.co.jp/sustainability/monitor/2015/discuss/
海の森水上競技場について
https://www.jcptogidan.gr.jp/report/7889/